はじめに
OpenCVは高機能な画像処理ライブラリですが、直接URLから画像を読み込む機能は提供していません。
しかし、Pythonの他のライブラリと組み合わせることで、ネットワーク上の画像を簡単に扱うことが可能になります。
本記事では、URLで指定した画像をダウンロードし、OpenCVで処理可能な形式に変換する方法について紹介します。
また、通常の画像の読み込み方法については下の記事で紹介しています。
事前準備
ここで紹介する方法では、requests ライブラリを利用します。
requests ライブラリについて
requestsライブラリは、Pythonで HTTP/1.1 リクエストを簡単に送信するためのライブラリです。
複雑なネットワーク操作を簡単に行うことができ、WebスクレイピングやAPI統合などの特徴があります。
インストール方法
事前準備として以下のコマンドを実行し、requestsライブラリをインストールします。
pip install requests
URLから直接を画像を読み込む
処理の手順を以下に示します。
- requests ライブラリなどを使用して、URLから画像データをダウンロード
- ダウンロードした画像データをNumPy配列に変換
- NumPy配列からOpenCV形式の画像に変換
サンプルコード
サンプルコードを下に示します。
import cv2 import numpy as np import requests def load_image_from_url(url): # URLから画像をダウンロード response = requests.get(url) # レスポンスが成功かどうかチェック if response.status_code != 200: raise Exception(f"Failed to download image. Status code: {response.status_code}") # 画像データをNumPy配列に変換 image_array = np.frombuffer(response.content, np.uint8) # NumPy配列をOpenCV形式の画像にデコード image = cv2.imdecode(image_array, cv2.IMREAD_COLOR) return image # URLから画像を読み込む url = "https://images.unsplash.com/photo-1603736087997-5daec6092347?q=80&w=2940&auto=format&fit=crop&ixlib=rb-4.0.3&ixid=M3wxMjA3fDB8MHxwaG90by1wYWdlfHx8fGVufDB8fHx8fA%3D%3D" image = load_image_from_url(url) # 画像を表示 cv2.imshow("Image from URL", image) cv2.waitKey(0) cv2.destroyAllWindows()
実行結果は次の様になります。
ローカルのファイルを読み込んだ場合と処理時間は体感では遜色ないように感じました。
サンプルコードで使用した入力画像は以下になります。
コード解説
- ライブラリのインポート
・cv2
: OpenCVライブラリ
・numpy
: 数値計算ライブラリ
・requests
: HTTPリクエストを行うライブラリ
load_image_from_url
関数
・この関数がURLから画像を読み込む主要な処理を行います。
- 画像のダウンロード
・requests.get(url)
でURLにGETリクエストを送信し、画像データを取得します。
- エラーハンドリング
・ステータスコードが200(成功)でない場合、例外を発生させます。
- NumPy配列への変換
・np.frombuffer
を使用して、ダウンロードしたバイナリデータをNumPy配列に変換します。
- OpenCV形式への変換
・cv2.imdecode
関数を使用して、NumPy配列をOpenCVの画像形式に変換します。
- 画像の表示
・cv2.imshow
で画像を表示し、cv2.waitKey(0)
でキー入力を待ちます。
・cv2.destroyAllWindows
でウィンドウを閉じます。
numpy.frombuffer関数
numpy.frombuffer
関数は NumPy ライブラリの関数で、バイト列(バッファ)から NumPy 配列を作成します。
この関数は主にバイナリデータを NumPy 配列に効率的に変換するために使用されます。
numpy.frombuffer
関数の引数と戻り値について説明します。
引数
名称 | 説明 |
---|---|
buffer(必須) | ・バイト列やバッファプロトコルをサポートするオブジェクト ・配列に変換するバイナリデータ。通常は bytes オブジェクトや bytearray が使用されます。 |
dtype(オプション) | ・データ型オブジェクト(デフォルト:float) ・返される配列の要素のデータ型を指定します。例えば np.uint8 , np.int32 , np.float64 など。 |
count(オプション) | ・整数(デフォルト:-1) ・バッファから読み込む要素の数を指定します。デフォルトの -1 は、バッファ全体を読み込むことを意味します。 |
offset(オプション) | ・整数(デフォルト:0) ・バッファの先頭からのオフセット(バイト単位)を指定します。データの読み込みを開始する位置を決定します。 |
戻り値
・1次元 NumPy 配列
・指定されたバッファから作成された 1次元の NumPy 配列が返されます。配列の要素の型はdtype
引数で指定されたものになります。
cv2.imdecode関数
cv2.imdecode
関数はOpenCVの関数でメモリバッファから画像をデコードします。
この関数は主にファイルからではなく、メモリ上のバイナリデータから直接画像を読み込むために使用されます。
cv2.imdecode
関数の引数と戻り値について説明します。
引数
名称 | 説明 |
---|---|
buf(必須) | ・NumPy 配列 ・画像ファイルのバイナリデータを含む 1 次元の NumPy 配列。 通常、 numpy.frombuffer を使用してバイト列から作成されます。 |
flags(必須) | ・整数 ・画像の読み込み方法を指定する ImreadModes として定義されているフラグ。参考リンク |
戻り値
・NumPy 配列
・デコードされた画像データを含む NumPy 配列。
・失敗した場合はNone
が返されます。
おわりに
OpenCVだけでは実現できませんが、requests
ライブラリを用いることでURLから直接画像を読み込むことが可能となります。
この方法は、ウェブスクレイピングや画像分析のタスクで特に有用です。
この技術を活用することで、OpenCVの強力な画像処理機能とインターネット上の豊富な画像リソースを組み合わせた、より柔軟なアプリケーションの開発が可能になります。
ご質問や取り上げて欲しい内容などがありましたら、コメントをお願いします。
最後までご覧いただきありがとうございました。
参考リンク
Requests: HTTP for Humans™
Requests is an elegant and simple HTTP library for Python, built for human beings.
numpy.frombuffer
Interpret a buffer as a 1-dimensional array.
OpenCV: imdecode
Reads an image from a buffer in memory.
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